どのような賃金制度を設計するかは、企業によって異なります。
賃金制度は経営者の考え方を反映したものになります。
そこで検討しなければならないことに、短期的視点と長期的視点があります。
短期的に良くても長期的にみれば良くない、ということがあります。
逆に短期的に良くなくても長期的にみれば良い、ということもあるでしょう。
働く期間は長く、新卒から定年(再雇用)では45年になります。
この期間は今後益々長くなっていくでしょう。
このような長い就労期間では長期的な視点が大事であるように思います。
しかし、若年者は短期的な思考をする傾向があるように思います。
そのため、現時点でのパフォーマンスに応じた給与を求めます。
高齢労働者でパフォーマンスが落ちているのに給与が高く、それに比較して自分は低い、と批判します。
この批判を真に受けると成果主義に向かいます。
賃金を毎年のパフォーマンスに応じた「短期決済」にしていきます。
一見合理的な感じもします。
しかし、このデメリットは将来が予測できない、見通しができない、ということです。
パフォーマンスが落ちたら賃金も下がるため将来設計がし難くくなります。
毎月の賃金は、日々の生活給(生活の糧)でもあります。
これは、年齢とともに高くなるのが一般的です。
特に子どもが高校、大学に進学する頃はピークになるでしょう。
その頃の賃金額が予想もつかないという不安を抱えることになります。
日本では、もともと年齢別生活費保障型の賃金カーブを採用してきました。
これが、結果として年功序列のように見えるため、批判を浴びました。
このような長期決済型を志向するのか、成果主義のような短期決済型の制度を志向するのか?
経営者の考え方次第と言えます。
以上は高橋伸夫著「虚妄の成果主義」を参考にしました。
2004年初版という本ですが、ご一読を。
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